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1996.5.18

1996.5.18
-コンクールへのアドヴァイス-


 ワルシャワから帰国してみると、思いがけず沢山の電子メールやお手紙を頂戴していました。その中から、ある国際コンクールを目指している女性からのお手紙への私の返事をご紹介したいと思います。

 コンクールに向けての衣装のこと、靴のこと、登録用の写真のこと。「ふーん、そんなこと」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、私はこのような相談相手になったことは初めてではありません。彼女は相談する相手が周りに見つからないので思い切って私に手紙を書かれたのです。その丁寧な文面からいろいろと困っておられる様子が手にとるほど良くわかりました。他の音楽家を目指す方にも役立つと思うので、この機会に私なりに考えてみたことをホームページでもお伝えしたいと思います。

 衣装については、演奏会やコンクールの際に必要のないストレスを感じないよう、大変気を遣います。たった一度の演奏で実力を発揮するには深く集中することが不可欠だからです。ですから本番の衣装はその集中力を妨げないものが理想的だと思います。演奏会でもコンクールでも重要なのはもちろん演奏です。しかし、女性にとって男性のようにステージ衣装が簡単ではない場合は、衣装も写真も自分を表現する手段のひとつと考えてしまってはいかがでしょうか。面倒でも準備の段階でこのようなことに時間を割くことはやはり大切なのではないかと私は思います。

in pari私の印象では、国際コンクールにおいて日本人以外の参加者の衣装は大変シンプルです。1次・2次審査のように演奏者数の多い段階でロングドレスを着ている方はほとんどいないと思われます。3次やオーケストラとの最終審査などになるとカラーのドレスでも構わないのではないでしょうか。

 色に関しては、演奏する曲のイメージやもしくは自分に似合う色を考慮されてはいかがでしょうか。外国の方は黒系統の色を使う方が多い印象があります。いずれにしても派手な印象を与える色は避けられた方が賢明でしょう。最後に素材に関しては、弾きやすく、肩や腕に負担の少ない、持ち運びのことを考えてシワになりにくいもの、そんな衣装が見つかればいいですね。

 私はショパンコンクールでは2着用意し、1次、2次、本選は白のシンプルなもの、3次審査でのみコンクール前に新しく購入した青と黒のドレスを着てみました。やはり着慣れているものが楽でした。靴は人によると思いますが、デザインよりもご自身の感覚を大切にされるべきだと思います。参考までに私の場合は演奏会のときはほとんど「黒のエナメル、ローヒールそして靴底は革で、はきなれて足になじんでいるもの」です。

 写真はなかなか1回では気に入るものを手にするのは難しいようです。カメラマンや写真館との相性や彼らの経験にもよります。写真は1回の撮影で、私の場合は100枚以上は撮りますが、そこから数枚でも気に入るものがあれば良い方ではないでしょうか。コンクール用は一般的に白黒写真ですから、色よりもいろんなポーズを試して、客観的に判断されてはいかがでしょうか。

 こうして私なりにいろいろと考えてみましたがお役に立てましたでしょうか。なにしろ私も試行錯誤を繰り返し、暗中模索のなかでコンクールを目指しましたから、自己体験のなかからでしがアドヴァイスできません。少しでもお役に立てればと思いつつも、あくまでも参考意見としてとらえていただければ幸いです。。

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