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1997.1.1

1997.1.1
-初春のお慶びを申し上げます。-


 新年明けましておめでとうございます。  昨年は日本各地、ワルシャワやパリなど50箇所以上のステージで多くの方々に出逢い、またお世話になり、大変有意義な1年を過ごす事が出来ました。

 私にとってステージは、人と人との出逢いの場、心の交流する場です。そして音楽は、デビューの際にプログラムにも書かせていただきましたが、心の架け橋と思っています。ですから、どこのホールでも、どの国へ行っても臆することなく演奏することが出来たと思います。そして私はどこへ行っても人の温かさや支えの有り難さを感じ、人は誰もひとりでは生きていけないことを深く感じました。

 皆さんも、「だいじょうぶ」と言って励まされたことや言って元気づけてあげたことがあると思います。でもこの「だいじょうぶ」にどれだけの根拠があるのでしょう。


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私の周りにはこの言葉を連発する人がいます。音楽のことなど何もわからないに等しいのに、それでも「だいじょうぶ」といわれることで私はどこかで自信を回復していたように思います。音楽に関しては大学を卒業する頃には専門的な不安や悩みを誰もが自分でわかっているし、先生や先輩に相談したり専門書や資料に目を通すことで多くの助言や答えは見つかります。しかし、それで必ずしも不安が消えるわけではありません。専門だからこそアドヴァイスや理論がストレートすぎて、勇気づけるはずが逆効果になってしまうこともあるのではないでしょうか。

 悩みが口や態度に出るとき、私の場合は「実は自分で何をすべきかわかっているけど、今一歩踏み出せないでいる状態」なので、だいじょうぶと言われて「背中を押してもらいたいだけ」なんだと本当に分かったのは大学生の頃でした。それからの私は、音楽に関して専門の「大丈夫」と、不安に根拠がない以上それを解消するにも根拠がいらないという無責任な「だいじょうぶ」に支えられて今日まで歩いてこられたと思っています。

季節柄、年末の整理や年始のあいさつ、そして年賀状などを通して誰もが過ぎ去った1996年の自分を振り返り、反省し、その中から新しい1997年への抱負や期待が生まれてくる時期です。

 昨年、したくても出来なかったこと。それが全く出来なかったこと、中途半端に終わったこと、そしてもう一歩足りなかったこと...同じ出来なかったことにも段階があり、それをどう発展させればいいのか、そしてどの方法が適切かを考えること。こうした何でもないこと、社会人になれば当然のことがデビュー1年目のピアニスト、社会人1年生の私にはとても新鮮で、生きている喜びを感じさせてくれます。3月にはデビュー1周年を迎えます。また、新しい夢への扉を開けることが出来ればと願っております。

 1997年もショパンを中心に歩いていきたいと思っています。本年もどうぞ見守っていただきたく、よろしくお願い申しあげます。


1997年 元旦
  宮谷 理香


追伸 次回は私の表現したいショパンについて書かせていただくつもりです。
   1月25日の予定です。  

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